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お母さんが前に出ないで

 はじめて中学受験に臨んだときに、「合格・不合格の半分は親で決まる」という言葉が耳に入ってくると、お母さんはどうしても一生懸命になります。「私のせいで落ちるなんていうことがあってはならない。親戚からも、隣近所からも、私自身が試されている。」―そうした心理状態に陥るのです。
 「母親としてやれることは何でもやってやろう」―学年が上がり、入試本番まで日数が限られてくると、時間がものすごく貴重に感じられ、一秒足りともムダには出来ないという思いに駆られます。
その結果、起床から食事、風呂、就寝までの時間管理は無論、部屋の掃除から着るものの準備まですべて手を出して効率よく進めようとします。
 自分に自信があるお母さんほど、勉強面でも主導権を握ってリードしようとする傾向が強いのです。まさに「自分が主人公」になってしまうのです。
 中学受験は子どもが幼いから親がリードしなければならない―確かにそうした部分があります。が、最後に伸びる子、本番に強い子は、受験を自分自身の問題、自分自身の責任と意識した子なのです。
親が決めて、そのとおりやらせるのではなく、できるだけ早いうちに、子ども自身に「受験するのはお母さん、ママではなく自分なのだ」という気持ちにさせることが大切です。
 そのためにも、親が何でも先に手を打つことを止めてはどうでしょう。
「今の成績ではどこにも受からないわよ」、「○○学園の方がいいんじゃない?」、「△△の『過去問』買ってきたわよ」「××の学校説明会に行ったら」……とつい言いたくなるのはわかります。受験は時間に限りがあるだけに、焦りの気持ちから待てなくて言ってしまうのです。
じっと我慢するのは辛いですが、我慢しないで指図してしまうと、子どもはいつまでたっても自分のこととは捉えられないでしょう。
時間はかかりますが、日々の細かなことから自分でやらせるようにしないと、これから先何事も親に依存する子どもになってしまいます。
自立心がない子が、受験を自分自身の問題と考えるわけがありません。

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安田 理

【プロフィール】
東京都出身。早稲田大学卒業後、(株)学習研究社入社。
雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。教育情報編集部長を最後に同社を退社。
2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルタントなど幅広く活躍中。

【WEBサイト】
http://yasudaken.com/