「いい受験」「わるい受験」
先日、「アエラ・キッズ」で、私立中学の先生4人と、「『いい受験』『わるい受験』」というテーマで座談会を持ちました。
私立中学の先生がもっとも気にされていることのひとつが、「勉強ができることだけに価値を置いて育ってきている」ということです。定期試験で、カンニングしたり、答案返却後に答案用紙を改ざんして持ってきたりする生徒がいるそうですが、それは成績が悪いとしかられるという生活をずっと送ってきたことが、こうした行為を生んでいるのではないかといいます。
また、私立中学に入学すると、小学校時代にクラスでトップだった子でも、150番、200番という順位をとることになります。このとき、「勉強ができることだけ」をほめられてきた子は、他に自分の存在価値を見つけられず、何事にも自信を失ってしまうそうです。
受験生活ではどうしても成績が最大の関心事になります。だからこそ、わが子の別の面のよさを見つけ、それを評価してあげてほしいのです。人間の価値は、いろんなところにあること、自然にそのことを知っている子は、友だちもそういう面で見ることができますから、さまざまな友だちができます。
受験生活では、子どもの奮起を促すために、「○○ちゃんには絶対負けないでね」「今度のテストは○○ちゃんに勝ったわね」といったことをつい口にするお母さんがいます。これが3年間も続くと、子どもにとって友だちは競争相手であって、協力しあう相手ではなくなります。この意識が強すぎると、入学後にいい友だち関係を築けない、勉強面でも友だちから学ぶということができず、大変マイナスで残念だということです。
また、受験生活が長くなると、金銭的、肉体的負担から夫婦ともに非常にストレスがかかります。はじめてといっていい家庭の大問題なので、これまで育ってきたお互いの人生観がぶつかります。
激しい「喧嘩」状態になったり、挙句の果てに「無視」しあうようになったり・・・・・・というご家庭もしばしば目にします。
子どもの幸せを願って始めた受験なのに、これでは何にもなりません。大切な夫婦関係が、受験で損なわれることがないよう、冷静に話し合って、協力し合って受験生活を送ってほしいものです。
ここからは私の意見ですが、「『全勝』は必ずしもいいとはいえない」結果になることがあります。子どもによりますが、中には「人生を甘く考えるようになる」子がいるのは事実です。ですから、「1つくらい不合格を経験した方がいい」ように思います。
一方、「効率よく、さほど努力しないで、親も苦労しないで合格」も望ましくないのです。
キレイゴトのように思われるかもしれませんが、合格・不合格の「結果」以上に、子どもがやるだけのことはやったという経験をし、親がわが子の努力を十分理解し、その努力をほめられる受験こそ、「いい受験」だと思うのです。

